グレン・グールド『バッハ:ゴールドベルク変奏曲1955年モノラル録音』
坂本龍一さんがはまったアルバムというので、数年前に購入したグレン・グールドのアルバム「バッハ:ゴールドベルク変奏曲1955年モノラル録音」[L]が、これほどまでにすごいとは購入当初思っていなかった。平坦な楽曲がしめるこのアルバムは、たいていの人なら「普通のクラシック」として聞き過ごしてしまうだろう。

曲は、雨の日の朝のような情景から始まる、実に淡々としたもの。静かなクラシックという表現がまさに似合う。しかし、これを弾いているグレン・グールドは、行儀正しいクラシックとはほど遠い、くだけた姿勢、そしてオリジナルの演奏で有名な破天荒。2008年5月6日にNHKでグレン・グールドの特集が放映されていたが、アルバムのレーベルは最後まで、この選曲にNGを出し続けていたらしい。
しかし、アルバムは世界的に評価され、ピアニストとしてのグレン・グールドの地位を確立する。
アルバムは、クラシックに聴き慣れていない人にはつらいかもしれないが、ヘヴィローテーションをすると、悦の域に入るのがわかる。カナダの英雄であり、閉鎖的なクラシック界に衝撃を与えたグレン・グールドだからこそ、この平坦かつ長い楽曲を選んだというのが理解できるのだ。
これにはまったという坂本さんはまだ中学生。しかし、将来に渡り影響を受けつづけ、映画Silkのアルバムをグレン・グールドの故郷カナダで録音を行い、うれしそうにグレン・グールドへの想いを語っている[L]。坂本龍一ファンなら、それ以前にリリースされた「BTTB[L]で、グレン・グールドのこのアルバムの影響を見て取れるだろう。
BASICでありながら、骨頂点。
実は、このアルバムは1981年に再度録音されている[L]。こちらはグレン・グールド往年の最高傑作と評されているのだが、モノラルで録音された1955版のほうが、時代に合っている面など評価できる点が多いと感じている。
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