杖をついたお婆さんの話
恵比寿からJR宇都宮線鈍行に乗り
宇都宮に向かっていた
遅延があったせいか若干混みぎみ
けれども新宿で席に座れた
問題が起ったのは池袋駅
杖と補助輪つき買いもの籠をもった
80歳前後のおばあさんが乗ってきたのだ。
おばあさんが立ったのは僕の席の対面
正面には20代そこそこといった女の子
隣も同世代のオタク風男子
おそらく学生なんだろうという風貌だ
まさかと思ったのだが、ゆずらない
2人はさきまで携帯をいぢってたけど
一瞬にして寝たふり
杖をついている以上
電車のゆれは限界ぎりぎりの状態
頭にきてどうにかしてやろうと思うのだけど
電車は満員、
みんな大容量のヘッドフォンと携帯か居眠り
もしくは知らん振りを決めこんでいて
身動きがとれなかった
いや、
取らなかった
という表現が正しいのだろう
必死に吊り皮をつかむ
おばあさん
ときどきムクッと起きて
携帯をいじってまた知らん顔して居眠りする学生男子
結局、おばあさんは3駅、30分近くたっていた
最後、席の端があいたとき、
ほっとしたかのように席に腰をかけたおばあさんをみて
かなしくなった
自分ももっと強く行動に出てもよかったんじゃないか
まわりに飲まれてしまっただけじゃないか
そう思った
少し車内がすいてから
おばさんがはいってきたので席をゆずった
「すぐ次だからいいですよ」
「いや、それでもいいっすよ。どうぞ」
「あ、そう、ありがとう」
そしたら、ちょっと離れた場所で、おねいさんが席をゆずってくれた。ほんのちょっと背中をおせば、行動する人はいるのだ。そうおもえると嬉しくなった。
一方で、80歳前後のおばあさんを無視しつづけた若い学生風男子は、古河で乗り換え、女子は、そのまま小山駅までうごかなかった。
一番弱いものがしいたげられる時代
を
実感するとともに
たばこの灰にうもれてしまった誠意はまだ生きているのだ
という真実に感動させられりもした
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