回収菓子「GF2」が遺伝子組み換え混入でも明治製菓は大手を振っていたんでしょうか?
明治製菓が、GF2という甘味料が入った菓子類を回収すると発表した。
大学院生が紹介するGF2関連の情報をみると、それが、血糖値に影響しない新甘味素材であることがわかる。それ自体はすばらしい技術と言えるだろう。実際、回収される製品は、チョコレートやダイエット食品ばかりだ。それではなぜ今回、回収するに至ったのだろう。
明治製菓は「製造技術の一部に関して、食品衛生法上必要とされる申請手続が漏れていることが判明いたしました」と述べているが、申請が漏れただけなら回収までには至らなかったのではないか。申請しなかった素材に何か大きな問題があったのではないだろうか。
そんな中、グリーンピースから号外が届いた。GF2の製造過程で、遺伝子組み換えの食材が使われているというのである。
そもそも遺伝子組み換えというのは、自然の摂理の中ではありえない遺伝子構造を作り出した、半ば人工の生命体という意味。具体的な危険が示されていないが、除草剤などをかけても弱らないジャガイモやとうもろこしが作り出せるというのだから、それを聞いただけでもおかしいと感じるのが普通だろう。

遺伝子組み換え食品への異論を唱える米DNA学者フェイガン博士は二十数年研究を続けているが「まだ、未熟な技術」と認めているばかりか、ろくに試験もしないで市場に出しているメーカーを強く警告している。ロシア科学アカデミーでは、親子に渡って遺伝子組み換え大豆を食べさせたところ、生後3週間までに約6割の子ラットが死んだという事例もあり、慢性毒性や突然変異の危険が考えられるのだ。
明治製菓の回収騒ぎで一体何が起こっているのか、明治製菓のリリースを見ると、回りくどい説明の中(これはおかしいよね、単刀直入にかけばいいはず)、インベルターゼという酵素が使われていることがわかる。インベルターゼといえば、ハチミツに含まれる(蜂が分泌する)物質で等分をブドウ糖と果糖にかける働きをもつもの。GF2は、これを黒麹菌から作っている・・・いや、違う、はっきり明記されている。
改良した黒麹菌を利用
ということだ。改良されている、つまり育成か遺伝子組み換えを行い、矯正もしくは変身された黒麹菌なのである。
インベルターゼは、「糸状菌(Aspergillus aculearus, Aspergillus awamori, Aspergillus niger)、細菌(Arthrobacter, Bacillus)又は酵母(Kluyveromyces lactis, Saccharomyces cerevisiae)の培養液より、冷時〜室温時菌体を回収して得られたもの」とのことであり、明治製菓はこの中で黒麹菌(Aspergillus awamoriなど)にあたる糸状菌を使用しているようだ。
社団法人フードスペシャリスト協会が平成18年11月10日に発行した会報を読むと、以下のようなことがかかれている。
1980年代前半、日高ら(明治製菓)は、黒麹菌、Aspergillus nigerのショ糖分解酵素が、通常はショ糖をブドウ糖と果糖に分解するが、ショ糖の濃度が高いとショ糖を分解してフルクトオリゴ糖とブドウ糖を生産する方法を見いだし、これを利用してフルクトオリゴ糖の大量生産法を確立した
つまり黒麹菌が、ショ糖をブドウ糖と果糖に分ける方法の研究を古くから行っており、関連する製品はこれ以外にもあるということとなる。黒麹菌は、そもそも日本の泡盛生産技術とともに研究が進んだものだが、この能力が優れていることから、量産向けの研究が多数行われていたことが、いくつかの文献を見ることで理解できる。
現在も、黒麹菌A.Awamori自体のゲノム解析の協同研究先が、製品評価技術基盤機構によって募集されている(3/31締切り)(Aspergillus awamori のゲノム解析に係る共同研究事業先の公募について)
ほどで、業界全体が力をいれている分野であることに間違いはないだろう。
なお、この黒麹菌だがゲノムの解析は、A.awamoriは以上のような状況だし、A.awamoriとよく似ているといわれるAspergillus Nigerも未了だ。すでにゲノム解析が完了しているのは「Aspergillus oryzae」のみのようで、よく文献に出てくるA.Nigerは、それらを比較しつつ、それらで培われた技術を使うことで、産業用製品を生み出している。(麹菌についての遺伝子解析について)
黒麹菌遺伝子組み換えを裏付ける特許の存在
この件に関して特許情報を調べていると、ある特許(黒麹菌のフェリクローム生合成に関与するクラスター遺伝子)が目についた。
黒麹菌は、さまざまな物質を生成するようで、この研究ではフェリクローム(Fe-Cr、つまり鉄分)の生成をより安全に、大量に行える遺伝子組み換えの方法を確立し特許としている。具体的にはフェリクロームを生成する性能を持つ遺伝子を特定し、その性能を持つクローンを生み出すという話だ。
これが、今回のGF2とどう関係するのかわからないが、GF2をブランディングする以上、大量生産を安定して行える方法があったことは間違いないだろう。ショ糖をうまく分離する遺伝子クラスターが特定できている、もしくは特定できる可能性は高い。
また、仮にそこまで到達していなくても、フェリクローム生成遺伝子組み換え黒麹菌がGF2などの生産に混入してないとも断言できないのだ。というのは、日本の遺伝子組み換え食材の分別ルールは非常に曖昧なのだ。
EUでは、すべての食品に対して表示義務があり、意図しない混入でさえ0.9%までしか許しておらず、また、動物飼料にも表示義務が科せられている徹底ぶりだ。
しかし日本では、流通課程におけるという前提で意図しない混入は5%まで許される。そもそも表示義務についても、原材料を占める上位三位以内で、かつ重量の5%以下は対象としないというあきれるほど、曖昧なものだ。油や醤油などは、対象からも外されている。
「指摘されたから仕方なくやっている」というのが見え見えであるが、まあ、それは置いておいて、黒麹菌はどうかというと、当然、GF2の生成に使われるだけで遺伝子組み換えの分別対象にならない。遺伝子組み換え黒麹菌が使われていても、「遺伝仕組み替えではない」と大手をふっていられるのだ。
しかしながら、今回は食品衛生法に触れたとして回収騒ぎが起きている。「遺伝子組換え/遺伝子操作技術由来食品及び原材料の表示」の義務違反の可能性が高い。これまで厚生労働省は、「組換えDNA技術応用食品の検査方法」としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)という方法を使っている。
これは、特定のDNA断片だけを選択的に増幅させる方法で、例えば、人のDNAの一部を増幅させ、他の動物と比較することで「差異の有無」を判別する方法である。上記の食品検査では、この方法を用い、一般的な食材と被験体を比べ、DNA技術が応用されているかを判別する(詳しくは上記リンクを参照)。ちなみに、ポータルブルのPCR装置でも25分で検査が完了する。
しかし、これでは黒麹菌のように、食品を分解させる課程に使われるものはでにくくなる。いずれにせよ遺伝子組み換えに深くからんだ食材が野放しなるのには変わりない。だから、あくまで仮定ではあるが、厚生労働省がその危険を察知し、食品衛生法に基づき検査方法の定義を変化(進化)させたことにより、今回の回収という事態にまで到達できたと考えられるのである。
今回の回収騒ぎは、食材の安全性の定義を大きく揺るがすものになるだろう。さらに現在も大きな危険として野放しになっているのが「不分別」の食材である。遺伝子組換えかどうか分別すらしていないというもので、大量に混入している可能性が十分にある。そんな食品がスーパーやらコンビニにごろごろしているのだから怖いものだ。
毎日、毎日遺伝子組み換え食材を食べて、ロシアのラットのように親子3世代が異常行動に走り出したら、誰が責任をとるというのだろう。いや、もう、その前兆は見えているのかもしれない。
【関連URL】
・お詫びと商品回収のお知らせ(明治製菓)
http://www.meiji.co.jp/corp/news/20080319/index.html
・黒麹菌(Aspergillus awamori NBRC 4314株)
・食品衛生法
・食品の安全性と遺伝子組換え生物の将来展望に関する情報と解説
http://web-mcb.agr.ehime-u.ac.jp/gmo1/Default.htm
・DR. JOHN FAGAN, ASSOCIATE DIRECTOR(ISTPP)
http://www.istpp.org/bio/fagan.html
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