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2003年09月19日

麻酔はこわいもの?

 何年か前の番組で“麻酔”というドラマがあり、手術を受けた女性が麻酔後に覚めることなく植物状態になってしまったという内容だったかと思います。人医療では大きな病院に行けば必ず“麻酔科”というものが存在し“麻酔医”という専門医がいますが、獣医医療では“麻酔医”というものはまだ存在せず麻酔のかけ方も統一されたものはありません。このためか日本の小動物医療での事故で最も多いのが“麻酔事故”のようです。
 このように書いてしまうと“麻酔”が非常にこわいものと思われてしまうかもしれませんが・・・

 “麻酔事故”というものは起こるべきして起こっているのではないかと思います。というのも事故のほとんどが手術前に適切な身体検査を怠っていたり、麻酔薬についての知識・経験が不足していたり、“大丈夫であろう”という過信や慢心が引き起こしている場合がほとんどだからです。自分も病院を継いでから幸いにも“麻酔事故”は起こさずに過ごしてきていますが、やはり“麻酔”をかけるときには緊張しますし、麻酔を安定させるまでの数分間は気を緩めることなどとてもできません。けれども適切な方法でかけた麻酔はスムーズに手術をすすめることができ、麻酔からの覚醒も速やかです。
 “麻酔は決して患者さんにとってはこわいものではありません。”というのが私の答えです。こわいのは獣医の経験不足と慢心ではないかと思っています。それを患者さんが見極めるのは難しいかと思いますが、手術前の身体検査をしてくれなかったり、麻酔方法をはっきり教えてくれない病院はどうかと思いますよ!

Posted by nomata at 20:03 | コメント (2) | トラックバック (0)
コメント

うちには シーズー雄13歳がいます。
先日 膀胱結石の手術の際、興奮していたため精神安定剤?を投与した後、麻酔をかけ始めたら、
心臓が止まり中止となってしまいました。
術前の検査はしてくれていますし、
最初から「老犬なので麻酔も心配だ」とおっしゃっていたのですが、例えば人間でも麻酔ができないから手術はできない、なんてことあるのでしょうか?
人間にも使われている安全な麻酔だそうです。
確かに昔から脈拍は不規則です。
結構元気はあるのですが、
血だらけのおしっこ、
かわいそすぎてどうしたらいいのかわかりません・・

Posted by: 関 広美 at 2003年10月28日 13:47

 吸入麻酔をかけるにあたって、心機能を安定させる薬や精神安定剤を事前に投与するのですが、その組み合わせや投与量は先生の経験などによって異なります。今回はその組み合わせが合わなかったのかもしれませんが、心臓に弁膜症のような病気を持っている場合は麻酔をかけるにあたっての薬は慎重に選ばねばなりません。
 心機能に影響をあまり与えずにかけられる導入麻酔薬があります。おかかりの先生に相談してみてください。

Posted by: nomata at 2003年10月28日 19:21
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